
四季大雅「バスタブで暮らす」Audibleで聴いた(ネタバレなし)

・フォロワーがおすすめしてたので聴いた。めっちゃいい小説!せろりんイチオシです。
・ガガガ文庫でライトノベルとして出版されてるんだけど、話も筆致もとてもライトノベルとは思えない。あえてジャンル分けするなら純文学なんだと思う。推し燃ゆみたいな感じの、女性主人公の生きづらさをテーマにした現代的な純文って感じ(推し燃ゆとは方向性が全然違うけど)。
・喜劇版人間失格みたいな話だよな。作中でも人間失格の話が何回も登場するのでけっこう意識して書いてると思う。人間失格みたいな小説って割といろいろあるけど、どれも本家と同じ悲劇版なんだよな。この小説は家族がほがらかだったり主人公の語り口がおもしろかったりして喜劇に仕上がっていて、暗い展開でもいやな気持にならないのがいい。
・ふつうに辛くて悲しい話なんだけど、兄とか母とか近所の幼馴染とか女友達とかのキャラが愉快で、明るく楽しい要素も多くてうれしい。サザエさんは愉快だな・・・。生きづらさをテーマにした小説って退廃的になりがちで嫌なんだよな。
・あらすじ:フィジカルもメンタルも弱くて、無欲であんまり人間社会に馴染めず生きてきた主人公が、就職先のお店でエグいパワハラを受けて実家にとんぼ返りし、バスタブに引きこもって暮らすようになる話です。
・まあバスタブで暮らす話なんだけど、それ以外は、こういう話です、という明確なストーリーがあるわけでもなくて紹介がムズいんだよな。ネタバレ無し感想なので踏み込んだことは言えないし。
・聴く前はバスタブを改造して試行錯誤して過ごすDIY小説なのかと思ったけどそういう要素がメインなわけでもないし、主人公がVtuberをやる展開もあるんだけどそこがメインなわけでもないし、わりと家族をテーマにした小説ではあるけどそればっかりかと言われるとそんなことないし・・・。
・でもめっちゃ面白い!暖かい話だし希望を持てる話だし余韻もあって良い。難しく感じる部分もあるけど、そういうところをフル無視しても全然面白いし暖かい。文章は理解しやすいし、かといって全部説明して台無しにしてる感じでもなく、無駄に難しい言葉とか使わないし、これをライトノベルで出してくるのはだいぶ神の一手感ある。
・主人公がVtuberでASMR配信しまくってる設定が最後のほうでいい感じに活きてくるのが一番デカい魅力だと思う。ぜひ聴いてみてほしい。
・エキサイティングな展開も無いし現実的じゃない誇張されたキャラも登場しないし萌えも百合も無いしファンタジー設定も無くてとにかく現実的に書かれている。これをライトノベルのレーベルで出してるのは一見すると正気とは思えないんだけど、まあでもライトノベルのレーベルで出したほうがいいかもと思える内容な気もしてくる。
・タイトルも、ふざけてんなー、出落ち感あるなーって一瞬思うんだけど、聴いてみるとこれしかないって感じがしてくる。
・作者が郡山出身らしくて郡山が舞台なのもわりと嬉しい。別の作品も読んでみよ。
・それにしてもガガガ文庫ってガチで変な作品ばっかり出してるな・・・・・・。