三体0 球状閃電 Audibleで聴いた(2回目)

前半ネタバレ無し未読者向け紹介、後半ネタバレあり感想です。

・死ぬほどおもしろい。中国のSF。

・1回聴いたことあったけど内容を忘れてきたので2回目を聴いた。

・「三体」というSF界のハリー・ポッターみたいな死ぬほど売れてる小説があって、この作品は邦題だと三体シリーズの前日譚として「三体0」を勝手に名乗っている。でも三体とは独立した話なのでこれ単体で読めるし、続きが気になって超長い「三体」に手を伸ばすことになる恐れも無い。

・三体シリーズは死ぬほど面白いけど長いし難しいので、これだけ聴いてみるのはかなりオススメ。

・球電とかボールライトニングとか呼ばれている、雷が球状になって宙を浮く自然現象の正体に迫る話。

・球電は、壁をすり抜けるとか、風の影響を受けないとか、突然爆発するとか、爆発した瞬間に人間だけを選択的に灰にするとか、科学では説明できないオカルトじみた性質をいろいろもっている。

・主人公は球電に親を殺された男。ある日、主人公の誕生日に球電が壁をすり抜けて部屋に入ってきて、球電は主人公の両親を一瞬で灰に変えてしまう。孤児となった主人公は球電の研究者になるんだけど、その過程で、兵器フェチの謎の女軍人と組むことに。

・けっこう硬派なSFで、話も割と難しい。戦争SFの側面もあってエンタメとしても全然おもしろいけどメインは科学の話だからお硬い印象はある。

・理科が得意だった人とか、SFをよく読む人ならいけるだろうけど、ガチガチの文系だと難しく感じるかも。でも囲碁がわからないのにヒカルの碁が好きな人も多いので内容を理解できなくてもおもしろい説もある。

・球電の正体から始まって、目からウロコが落ちるような世界の真理に話が行って、ガチで面白い。やっぱこの作者って天才だわ、面白すぎる・・・。

ここからネタバレあり

・やっぱおもしろいのはマクロ物質って発想だよな。昼間の月が見えないのと同じようにマクロ電子も実は肉眼で見える、みたいな設定も外連味があっていい。

・球電の正体が励起されたマクロ電子って設定もハチャメチャにおもしろい。でも球電の正体が発覚するシーンこそがサビの部分なのに、章題が「マクロ電子」で、ここで「あっ」って察してしまうのが玉に瑕だよな。

・マクロ電子ってワードが投入された瞬間に全て理解できるのが快感。物質と相互作用しないから壁をすり抜けたり風の影響を受けなかったりするとか、稲妻を作ることでソ連で何度も作成に成功したこととか、普通のシミュレーションで性質を再現できないこととか、全部説明がつく。

・霊的な現象かなとか、主人公が最初にやっていたように気流とプラズマや静電気が絶妙なバランスで成り立ってるものなのかなとか考えていたのに、正体が励起されたマクロ電子だってのがマジでおもしろい。

・それだけで面白いのに、マクロ原子核、マクロ物質、マクロ世界、マクロ核融合、と話が飛んでいくのも超おもしろいよな。

・でも「物質は原子から出来ていて、原子は原子核と電子から出来ている。電子はエネルギーを受け取ると励起してエネルギーを放出しながら元の状態に戻る。原子核は高速で衝突させると核融合を起こして膨大なエネルギーを放出する、そのエネルギーで更に原子核を衝突させて…と連鎖を起こすのが原子爆弾」みたいな、ぜんぜん初歩的ではあるし高校で習うけど世の中の標準的な人間がそこまで理解しているかはかなり怪しいラインの理科をわかっていないと置いてけぼりになるのは人にオススメしづらい点ではある。

・後半の量子論的な効果の話はやっぱり理解しづらい部分ではある。ディンイーの言ってることをとりあえず信じとけば雰囲気で理解できるから別にいいけど。

・でもこれを三体0というタイトルで売るのはいくらなんでもどうなんだと思う。ストーリーに繋がりは無くて、ディンイーが出てくるのと異星人の存在をほのめかしていることくらいしか共通点が無い。話は面白いけど、それはそうと三体の前日譚だと思って読んだらがっかりするだろう。

・SETI@homeが出てきたところでコレコレ~ってなるのがいいんだよな。この作者、SETI好きすぎるだろ・・・。やっぱ三体の作者なんだなって思う。

・劉慈欣って貧弱なコンピュータで数値計算する展開好きだよな~。たぶん学生時代にそういう研究をいっぱいやってきたんだろう。そして作中で描かれるように昔の中国で重いシミュレーションをやることは容易じゃなかったんだろう。昔のPC描写がいろいろ出てきてPCオタクとしてはうれしい。SETI@homeをハッキングする展開も超おもしろい。

・シベリアの元ボールライトニング研究者がペチカでペレストロイカを焼くのとか外連味があっていいよな。

・三体が死ぬほど売れて忙しいんだろうけど新作長編を出してほしいよな。

せろりん
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